人が亡くなるとその瞬間から相続が開始されます。
相続がはじまると、亡くなった方の財産分与も同時にはじまり、もちろん自動車も分与すべき財産に含まれることになるのですが、相続開始後に相続人の間で遺産分割協議をまとめないと、自動車はすべての相続人の共有財産とみなされます。
たとえ自動車が共有状態であったとしても法的になんら問題はないのですが、自動車を売却したり廃車にする際に共有者全員の承諾が必要になってしまい、速やかに手続きが進まない可能性があります。
ですから、ほとんどの方が特定の相続人に自動車を名義変更するのを希望されるかと思います。
しかし、自動車の登録内容を変更するなどの手続きは、通常は車屋さんに丸投げすることになりますので、実際に相続が発生した場合にどうしたらよいか分からない方が多いようです。
そこで今回は、相続による自動車(普通車)の名義変更に必要な書類について解説していきたいと思います。
単独相続の場合の必要書類
単独相続とは、一人の相続人が継承することです。例えば、亡くなった父親の自動車を3人兄弟の長男が相続するようなケースです。
まずは通常の名義変更と同じ書類を確認しよう!
自動車を単独相続する場合の必要書類のうち、通常の名義変更と同様の必要書類をご確認ください。
- 申請書
- 手数料納付書
- 車検証
- 新所有者の印鑑証明書 ※発行されてから3か月以内のもの
→新所有者が未成年で印鑑証明書がない場合は発行後3か月以内の住民票
→新所有者以外の印鑑証明書は不要 - 車庫証明書 ※証明の日から40日以内のもの
→使用の本拠に変更がない場合は不要 - 使用者の住所証明書 ※新所有者と新使用者が異なる場合のみ
→個人の場合は住民票や印鑑証明書など、法人の場合は商業登記簿や印鑑証明書など - 委任状
→新所有者と新使用者が異なる場合は双方の委任状が必要 - 自動車税申告書
それぞれの詳細については、すでに他の記事で紹介しているのでここでは省略します。
運輸局へ手続きに行くと、とにかく混雑していて長時間待たされることがよくあります。 しかも座って待つことができればまだ良いほうで、混雑がひどいときには立って待たなければならない時もあります。 おそらくあなたも、できれば書類 …
相続の場合に特に必要となる書類
相続の場合に特別に必要となる書類は次の通りです。
- 亡くなった方の戸籍謄本
- 遺産分割協議書or遺言書or調停証書 など
亡くなった方の戸籍謄本
亡くなった事実と相続人の確認をするために、亡くなった方の戸籍謄本が必要となります。亡くなったことを確認しますので、戸籍に「死亡」と記載があるかどうか確認してください。(死亡届提出後の戸籍)
ちなみに、戸籍の請求先は住所地ではなく本籍地ですのでご注意ください。郵送での請求もできますのでわざわざ本籍地まで行く必要はないのですが、1週間程度の時間が余計にかかります。
戸籍に子供の名前が載っていないことがある!?
役所で戸籍を請求したとき、筆頭者の子供の名前が載っていないことがしばしばあります。これはミスでもなんでもありません。
実は、かつて戸籍は手書きの紙で保管されていたのですが、平成13年~平成16年頃にコンピュータ化されて現在のような印字のものに変更されました。このとき、すでに婚姻等で除籍されていた方はその情報が記載されていないことがあるのです。
ではどうやって家族のつながりを証明すればよいのでしょうか?
ご安心ください。役所には以前の紙の戸籍の情報も保管されていていつでも請求することができます。これを「改製原戸籍」といいます。改製原戸籍を請求すればまず家族関係を証明できるかと思います。
ただし、改製原戸籍は手数料が割高なので、まず現在の戸籍謄本を請求して、情報が足りていない場合に限り改製原戸籍を請求するようにするとよいでしょう。
遺産分割協議書or遺言書or調停証書 など
これらの書類は、誰が車を継承するのかを証明するための書類になります。
遺産分割協議書には相続人全員の実印による押印が必要となります。ただし、必要書類として提出する印鑑証明書は新所有者(自動車を継承する者)のみです。
名義変更用の遺産分割協議書がある!?
故人の遺産分割協議は往々にして時間がかかったり、まとまらなかったりすることがあるかと思います。
例えば、自動車など一部の分割は決定したとしても、他の財産の分割がうまく進んでいないと結果としてすべての分割が確定しないことになってしまい、長期的に財産の権利が宙に浮いてしまうことになります。
自動車の手続きにおいては専用の遺産分割協議書の様式が存在します。
名義変更用の遺産分割協議書
※画像をクリックすると拡大できます。
名義変更用の遺産分割協議書を利用することがほとんど
自動車の相続手続において、上記の名義変更用の遺産分割協議書を利用することがほとんどです。
車の継承者が決まってさえいればその時点で手続きが可能になりますし、提出して原本還付を請求する必要もないため、すべての遺産の分割を定めた協議書よりも利用しやすいのではないかと思います。
共同相続の場合の必要書類
共同相続とは、複数の相続人が継承することです。例えば、亡くなった父の車を3人兄弟の全員または2人が相続するような場合です。
共同相続の場合は基本的に単独相続と同じになりますが、1点だけ異なる点があります。
- 新所有者全員の印鑑証明書
単独相続との違いは、車を共同所有する相続人全員の印鑑証明書が必要になるという点だけです。
車の共有はああり一般的ではなく、車を使う人が単独相続することがほとんどだと言えます。
相続による名義変更にかかる費用
相続による自動車の名義変更にかかる費用は次の通りです。
内容 | 費用 |
---|---|
登録手数料 | 500円 |
環境性能割(旧取得税) | 自動車に価値による |
ナンバー代 | ※管轄が変わる場合のみ 1,460円 |
※車庫証明には別途証紙代2,700円必要となります。
まとめ
いかがでしょうか?自動車の相続に必要となる書類は理解していただけたでしょうか。
通常の名義変更と相続による名義変更の相違点をまとめると、
- 譲渡証明書が不要
- 譲渡人の委任状や印鑑証明書が不要(亡くなっているため)
- 遺産分割協議書が必要
- 故人の戸籍謄本が必要
以上の4点です。
譲渡人が亡くなっているため、譲渡人の意思が反映する書類がなくなる代わりに、故人の死亡や相続人、相続人の意思を確認する書類が必要になることがご理解いただけたのではないでしょうか。
参考にしてみてください。
例えば、あなたの親族が亡くなり、あなたは法定相続人の一人だとします。亡くなった親族は車を所有していたため相続財産として車が残っているのですが、あなたを含め他の相続人もすでに車を持っているため処分に困ってしまいました。 そ …
全国のディーラー様だけじゃない!?
近隣の個人様からの
ご依頼も多数いただいております!
自動車名義変更.comは当初、全国のディーラー様から自動車登録の代理業務を請負うために立ち上げられました。これまで全国のディーラー様から多くのご依頼を承ってまいりましたが、それと同じくらい個人様からのご依頼もたくさんいただいております。
個人様の場合、平日は仕事のため運輸局に行くことができない方がほとんどです。したがって自動車を運輸局へ持ち込んでナンバーを交換することはできません。
そこで自動車名義変更.comでは、お客様のお車を一時的にお借りして運輸局で手続きを行うなど柔軟に対応させていただいております。特に県外から中古車を購入されたお客様から大変喜んでいただいております。
なかには「個人でも依頼できるのか?」と心配される方もいらっしゃいます。
どうぞ遠慮なさらずにご相談ください。
クリックするとお問い合わせフォームへ移動します。